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050 夏が終わる

last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-03 17:00:25

「それからダーリン、みぞれやしずくとよく遊んでくれるようになって」

「みぞれちゃんしずくちゃん、本当に可愛かったから。それに、こんな俺に懐いてくれたからね」

「こんなって……駄目よ、ダーリン。自分のことを、そんな風に言っちゃ」

「ごめんごめん」

「あたしにとって、ダーリンの何もかもが新鮮だった。あの時の気持ちは、そう……初めて亮平に会った時にすごく似てた」

「……」

「自分の損得に関係なく、ダーリンはあたしに優しくしてくれた。そしてみぞれやしずくのことも、本当に可愛がってくれた。

 前にも言ったけど、あたしは旦那が欲しいんじゃなかった。だってあたしの旦那は亮平だけだから。あたしが欲しかったのは、みぞれとしずくの父親になってくれる人だった。

 でも、あたしに言い寄ってくる男たちはみんな、みぞれとしずくのことは、あたしのおまけみたいにしか見てなかった。勿論、優しくしてくれたよ。でもね、あたしとの繋がりであの子たちの父親になっても、あたしへの興味がなくなってしまえば、あの子たちへの思いも薄れていく。だからあたしは、あたしに言い寄ってくる男たちのこと、誰も信じられなかった。

 でもダーリンは違った。ダーリンはあたしのことなんか眼中になくて、みぞれとしずくのことを心から愛してくれた。それに気付いた時には、もう手遅れだった。あたし、亮平以外の男なんて、絶対好きになんてならないと思ってた。なのにあたし、ダーリンのことを考えない日がなくなっていた」

「明日香さん、それ誉めすぎ」

「……それであたし、亮平のお墓に行ったの。あたし、好きな人が出来たみたいだって」

「あ、いや、だから……」

「そうしたら亮平、言ってくれたんだ。やっと好きになれる人が出来たのか、嬉しいぞって」

「……」

「それからはもう、あたしもブレーキ外しちゃったよ。来る日も来る日も、ダーリンにアタック!」

「おー

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